碁盤を囲んで

詩の碁の言いつつ、笑いを求め、碁友と遊ぶ日々。

♪ 斜格子を君に

 

♪ 斜格子を君に

 

替えの詞が、出だしからドサッと降ってきたパターン。続きも、よどみなく浮かんで、あっという間にできた。宇多田さんの詞は研ぎ澄まされているから、こちらも言選りを尽くす。

 

きっかけは、ますださんの得意げなツイート。

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連珠で、ケイマの連携で相手を包む方針は、中長期的に、相手に5連を許さない守りになるようだ。囲碁でケイマの手を「斜」と記すので、「斜格子」と名付けたい。

 

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♫ 普段から~マッタしない君が~肉付きを乞う午後~

石を盤に打ったものの、さまざまな疑念が湧いてきて、その石を剥がしたくなることがある。そのとき、指が石から離れていないまま剥がすことを「肉付き」と称し、許容するローカルルールもあるようだ。打ち手としてはマナー違反、恥ずかしい行為とされる。短い詞にあわせるべく、大和言葉の「乞う」に縋った。


♪ 三三と~ 四四の ハ~ザマ~で 忘れぬ~ 反則した~

忘れぬ「約束」→「禁則」→「反則」。連珠の黒番に課せられる禁手をそのまま充て、狭間と二石関係のハザマを掛ける。

 

♪ 斜格子を君に贈ろう 優しい簾戸~ 鬱陶しい意図~

原詞「愛おしい人 」のリフレインをいかに受けるか。同じ繰り返しはつまらないので、異なる二つを繋げたい。そこで、駄洒落工学ツールを繰り出す。

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人:ひ+と=?i+?o と韻段分解し、「い段」と「お段」に目を走らせるうち、「い+と」を見留め、=意図と認めた。他方、意味と映像を重ねるうち、簾(すだれ)が浮かんだ。簾は、こちらとあちらを互いの気配が感じられるほどの優しさで仕切るものの、すり抜けることはできないもどかしさも湛えている。選んだ「簾戸」は、厳密には?u+?o だが、宇多田さんの発声なら許容されそう。連珠の斜格子の代名詞として「簾戸」は使えそうに思う。

 

♪ どんな~に石並べ~て~も 五連までに~ならないから

脳内で歌っている宇多田さんは、完全にハマっていた。


♪ 今日は置くぞぉ~ぅ 涙色の~ 斜格子を君に~

終わりの「涙色の」が、スケルストンと空の連珠盤の像を結んだ。

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♪ 斜格子を君に (重母音率71%)

スケルストン。http://www.igocolors.com/

空の連珠盤。https://twitter.com/Creator_Mizu

ますださん https://twitter.com/sept_aberi の快局譜をそのまま拝借し、撮影。

打ちウサギ

♪ 打ちウサギ

浜名湖からの帰路、新幹線でスピッツの『CYCLE HIT 2006-2017』を聴いた。総武線に乗り換え、CDプレーヤーを入れたザックを網棚に載せ、ドア脇に立って聴いていたら、14曲目の「歌ウサギ」がシングル・リピートになってしまい、そのまま30聞き続けることに。イヤホンを着けたまま、翌朝の囲碁講義の枕について頭で転がしているうち、

♬何かを探して何処かへ行こうとか~

そんなどうでもいい歌ではなく~

の部分が、星打ちの極意ではなかろうか、と思い至った。モチーフを絶句に仕立てるため、三々、小目、目外し、高目それぞれの着意を表す歌詞は?と探し始めたもの、すぐには揃わずに帰宅。湯船に浸かっても「歌ウサギ」が鳴り続けていた。

‥この曲は二人の世界、向き合っているというより、並んで同じ方向を見ている‥‥ ペア碁。。

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元の歌詞にペア碁の情景を重ねながら、母音を合わせていく。

こんなカス石抱えたまんまでも 何故か僕たちは
ウサギみたいに弾んで
「あ、そっち」ばっか ペア碁で不安げに固まった君が
華やかにポカりそうで

つきあい始めた頃の二人は、無邪気と不安が交錯する。傍目にはつまらないことにも心は躍る碁で「抱える」といえば、シチョウなど石取りの筋にあたる。碁は「こっちもそっちも」読んで、見合いを紡いで打っていくはずが、「こっち」しか読んでいないのに、パートナーの思いがけぬ「そっち」の一手を見るたび、噛み合わない感触がつぶやきに滲む。

 

いま縋るのさ ひどく無様だけど
躓いたのは 空々しい奈落 地味に 繋いだから

序盤から相手に屈服するさま。「輝いたのは」→「躓いたのは」。元詞の「清々しい堕落」は形容詞と名詞の呼応に違和感を誘う連結で、曲中ひときわ印象深い。2回歌われるが、最初は、「空々しい奈落」で受けた。

 

どんだけ修正加えてみても 二段にはならない
勘に依存した迷い子
三三潜って色々荒らして ほぼ黒模様に
残されてた妙法で

ペア碁は、ペアの棋力を合算して相手ペアと比べ、手合割が決まる。一行目は「美談」→「二段」でスッキリと。地を稼ぎ、相手をアマす作戦。「散々」→「三三」。元詞の「モノクロ」自体が碁のイメージ、「ほぼ黒」を充てた。「方法」→「妙法」。

 

いま揺らぐのさ 裾が閉まらなくて
破れそうだよ ハマグリ色の柵 君と 鬱になる

思惑が揺らぐ。白地が思うように囲いきれず、焦る二人。

 

「何かを探して何処かへ行こう」とか
そんなどうでもいい宇宙ではなく
君の耳たぶが振れた勘定だけを 信じ続ける

星打ちといえば武宮宇宙流。この一節がすべての始まり。相手とのやりとりのなかで、互いの地が定まっていくのだから、意図、意向をもたないほうが良いというパラドックス。「感情」は地合いの「勘定」いかんによる。ウサギの目算は、耳たぶを振るわせて数えるという妄想。

いま凌ぐのさ 既読辿るんだけど
輝いたのは 清々しい洒脱 眼と眼 繋いだから

シノギはすでにヨんである。2回目の「清々しい堕落」は「清々しい洒脱」に。生きるためだけに、淡々と。石もヒトも繋がって強くなる。

 

セキとか生きとか手抜く意味とか
叫べるほど自由もなく
さっき君がくれたボヤキを食べて 支え続ける

ペア間で会話は出来ないルール。

こんな逆コミ抱えたまんまでも何故か僕たちは
ウサギみたいに弾んで
望外ばっかのワカレ 自慢げに固まった白地が
鮮やかに残りそうで

弾む二兎。攻めさせて得をする、アマシの真髄。

 

♬打ちウサギ(重母音率84%)

背景は、天竜浜名湖鉄道気賀駅南、都田川下流桜堤付近。

 

時間旅行~棋士編~

歌丸「はい、楽さんが早い」

楽太郎「時間旅行へ行って、秀策先生と打ってきました」

歌丸「で、どうなりました?」

楽太郎「本因坊家の門人から、コレラをうつされやしないかと心配で、

お祈りばかりしていました・・・くわばらくわばら」

歌丸「最初にしてはうまいよ、一枚やろう」

木久蔵「ハイ!」

歌丸「・・・今週は大丈夫?」

木久蔵「大丈夫」

歌丸「じゃあ木久ちゃん」

木久蔵「タイムマシンで江戸時代に行って、幻庵先生と打ってきました」

歌丸「まさか一手打つたびに、『運運唸った』とか言うんじゃないだろうねえ?」

木久蔵「・・・。運、そのとおり」(といって陽気に振る舞ってから、うなだれる)

-楽太郎が歩み寄り木久蔵をからかう。好楽もつつきながら手を挙げる-

歌丸「・・・。次いきましょう、好楽さん」

好楽「タイムマシンで11年前に行って、入段したての女流棋士と打ってきました」

歌丸「で、どうなりました?」

好楽「初々しい青葉のかおりで胸がいっぱいに、うふふっ、

これ以上は申せません、ふふっ・・・」

歌丸「それ以上は聞きたくもありません」

楽太郎「お主も悪よのう・・・。」

歌丸「・・・。山田くん、楽太郎と好楽の一枚ずつ持ってって」

木久蔵がバンザイをし、小遊三はニヤリと笑いながら手を挙げる-

歌丸「はい、小遊三さん」

小遊三「時間旅行で江戸時代に行って、

銀杏(イチョウ)の碁盤を使って、いちょう松和先生と打ってきました」

歌丸「苦しくな~い?・・・で、どうなりました?」

小遊三「いやあ、苦しい碁だったんですがねえ、

終盤に、『銀杏(ぎんなん)』みてえにキラッと光る一手で勝ちを『拾った』とさ」

歌丸「・・・好きだねえ。はい、楽さん」

楽太郎「時間旅行へ行って、進藤『ヒカル』と打ってきました」

歌丸「・・・。」

楽太郎「・・・。訊いて下さいよ」

歌丸「・・・で、どうなりました?」

楽太郎「絵に描いたような手筋で、種石を仕留めました

・・・『ツル』の巣ごもり」

-楽太郎、チョイ悪風の笑みを浮かべる-

歌丸「・・・何も言いません。 えー、お次は昇太さん」

昇太「時間旅行で江戸時代に行って、色男の太田先生と打ってきました」

歌丸「で、どうなりました?」

昇太「女性を口説く極意がわかりました

・・・よーし、思い切ってストレートに雄蔵!」

歌丸「・・・。それが出来れば、一人もんじゃないんですがねえ・・・」

-昇太の顔へズームイン、眼がテンになっている-

歌丸「はい、たい平くん」

たい平「タイムマシンで明治時代に行って、秀甫先生と打ってきました」

歌丸「で、どうなりました?」

たい平「まるで蒸気機関車のような力強いリズムで圧倒されました

・・・♪ぼくらを乗せて~ 秀甫っ、秀甫っ、シューポッポー!」

歌丸、二度程うなずく-

山田「ハイ!」

歌丸「あれ、山田くん? じゃあ今週も聞いてみましょう、どうぞ」

山田「時間旅行へ行って、絶頂期の石田名人本因坊と打ってきました」

歌丸「どうなりました?」

山田「『小太刀の冴え』と言われた『石田のキカシ』とかけて、

『座布団』と解きます」

歌丸「おや、謎かけできましたか・・・で、その心は?」

山田「積み重ねが大事です」

歌丸「やるねえ、座布団一枚はご自分でどうぞ。

それでは『笑点』、また来週お目にかかりましょう、

ありがとうございました」

♪パッパラパラパッパ ♪パッパラパラパッパ 

♪パッパ~~ パラパッ ぱふ♪